INDOPEPSHYCHICSから紡がれた日本のエレクトロニック・ミュージックの一端 No.2

第一回目ではPROGRESSIVE FOrMを立ち上げる大元になったユニット<INDOPEPSHYCHICS>の誕生から、インドープサイキックスとしての初仕事であるキンググドラのデビューアルバム「空からの力」に収録された「行方不明」のリミックス(1996年)までを紹介しました。
以降、1996年はDJ Kenseiがラッパ我リヤのライブDJを務めいた事もあり「ヤバスギルスキル PART II」や、shakkazombieの故OSUMI氏と当時渋谷HARLEMの運営母体である”おたのしみ研究”が売り出そうとしていたDEJJAという女性ボーカリストをフィーチャーした曲「100万光年のやさしさが注がれる限り」などをプロデュース。
INDOPEPSYCHICS feat. OSUMI, DEJJA「100万光年のやさしさが注がれる限り」(1997年)
またこの1996年は7月7日に日比谷野外音楽堂で日本で初めて大会場で開催されたヒップホップイベント「さんピンCAMP」が開催された年でもあり、DJ KenseiがDJ出演した事もあり我らクルーも参加。
https://ja.wikipedia.org/wiki/さんピンCAMP
1997年には渋谷でHARLEMがオープン、DJ Kenseiと仲も良かったBUDDHA BRANDのDJ MASTERKEYらが主体となり金曜日の帯(=週1のレギュラー)イベント「DADDY’S HOUSE」を担当、僕も2ndフロアでダンス クラシックスなど主体にDJをしていました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/DADDY%27S_HOUSE
同時に、DJ Kenseiも間口が広く100%Hip Hopというスタイルではなく、また僕らも毎日のように中古レコード屋に行きトラックのネタになるような60年代後期〜80年代初頭のジャズ〜レアグルーブ〜ソウルなどを掘っていた事もありインストゥルメンタルを聴くのが自然だった事に加え、当時の音楽的背景とも重なりHip Hopに近いビートのインストなども積極的に聴くようになっていきました。
また後2000年から始まったフェスティバルMETAMORPHOSEに繋がっていったような野外イベントや、90年代後期頃の新宿LIQUIDROOMには良く参加して様々な音楽に触れていた事も影響していたと思います。
※新宿LIQUIDROOMは2004年1月まで営業、恵比寿LIQUIDROOMは2004年の7月に移転オープン。
※METAMORPHOSE
1990年代後半にリファレンスなどでも良く聴いていたアルバムから4曲。
1)DJ SHADOW「ENDTRODUCING」
1996年に発表されヒップホップという音楽のサンプリングという手法/概念の幅を押し広げ多数のアーティストに影響を与えたDJ SHADOWによる永遠の歴史的傑作アルバムでありインストゥルメンタルの金字塔「ENDTRODUCING」。
2)The Irresistible Force「Another Tomorrow」
THE IRRESISTIBLE FORCEことMIXMASTER MORRISによる1998年リリースのサード・アルバム「It’s Tomorrow Already」より。
3)Boards Of Canada「Happy Cycling」(アルバム「Music Has the Right to Children」1998年より)
4)砂原良徳「Sony romantic electro wave」(アルバム「TAKE OFF AND LANDING」1998年より)
そういった背景などから生まれたINDOPEPSHYCHICSの代表トラック。
Indopepsychics – Gemini IV V Space Nova! (1997年)
https://www.youtube.com/watch?v=smovHO6CoQY
また当時90年代後期にはドラムンベース(英: Drum and bass)も聴いて現場(クラブ)にも足を運んでいた影響も伺える2トラック。
1)UNKLE – The Knock (Indopepsychics Remix) (1999年)
2)J-Treds – Praise Due (Indopepsychics Remix) (2000年)
https://www.youtube.com/watch?v=mHmZn1ipa9s?
また1990年代後期には上述のBoards Of Canadaらを筆頭に代表される、1990年代にイギリスで生まれ、ダンスミュージックの要素だけでなくリスニングミュージックとしても楽しめる多様なジャンル<エレクトロニカ>(電子楽器やデジタル技術を用いて制作される音楽の総称)やIDM (インテリジェンス・ダンス・ミュージック)も全盛で、ここにはエイフェックス・ツインや時期によりビョークなども含まれます。
そしてこの2000年の初頭だったと思う、DJ Kenseiと親交の深かった京都のDJ Kazumaから「京都で面白い事をやっている大学生達がいるんだけど今度京都来た時に会いに行かない?」と紹介されたのが青木 孝允(AOKI takamasa)と高木 正勝で、彼らがシェアしていた京都市内のマンションで彼らと会う事になりました。
言わずと知れた翌2001年にSILICOMとして作品をリリースした2人で、彼らのMacで当時制作をしていたSILICOMのDVDに収録される事になるオーディオ・ビジュアル作品を中心にとても興味深く作品を拝見させて頂いたので事を覚えています。
3回目では、PROGRESSIVE FOrMレーベルの最初のリリース作品となった「SILICOM」に触れたいと思います。