INDOPEPSHYCHICSから紡がれた日本のエレクトロニック・ミュージックの一端 No.9「PROGRESSIVE FOrM初期作品の黒川良一及び徳井直生、そしてdaisyworldとのイベント」

前回の8回目では、半野さん(Yoshihiro Hanno)のアルバム「9 modules.+」PFCD04から入り、2002年11月22日に今は無き六本木ヒルズTHINK ZONEで開催されたPROGRESSIVE FOrM初のレーベルイベント「voyage.1」を中心に紹介しました。Yoshihiro Hanno「9 modules.+」PFCD04 https://progressiveform.bandcamp.com/album/yoshihiro-hanno-9-modules-pfcd04

 

今回は上述のイベント「voyage.1」にも出演してくれた黒川良一(Ryoichi Kurokawa)と徳井直生(Nao Tokui)が2003年にリリースアルバムから紹介したいと思います。


 
PROGRESSIVE FOrMでは2002年12月17日にAOKI takamasa「indigo rose」PFCD05
https://amzn.to/48kwyOz
全曲視聴:https://progressiveform.bandcamp.com/album/aoki-takamasa-indigo-rose-pfcd05

をリリースした後、初期PROGRESSIVE FOrMでも内容のクオリティーと共に重要な作品でもある以下2作品を2003年にリリースしました。
 
Cat No.: PFCD06
Artist: Ryoichi Kurokawa
Title: copynature
Release Date: 2003.5.30

Cat No.: PFCD07
Artist: Nao Tokui
Title: Mind The Gap
Release Date: 2003.6.25

それではRyoichi Kurokawa「copynature」PFCD06から聴いていきたいと思うのと同時に、そもそもRyoichi Kurokawaは映像と音楽を両方表現するアーティストなので、この「copynature」については、AOKI takamasaとMasakatsu Takagi(高木正勝)によるSILICOM同様、オーディオビジュアル作品としてDVDも同時にリリースしています。

Cat No.: PFCD06
Artist: Ryoichi Kurokawa https://www.ryoichikurokawa.com
Title: copynature
Release Date: 2003.5.30
 
Tracklisting:
01. cipher
02. everything you can see through a little hole
03. OOL
04. errorbook
05. opside
06. a few walks
07. sea in you
 
All Sounds by Ryoichi Kurokawa
Mastering : Masato Morisaki at Saidera Mastering
 
現在最も注目を浴びている映像・音響作家の1人として海外をベースに活躍を続ける黒川良一の処女作。
美しいノイズとリズムで構築されたその音響世界に彼等の大きな才能を見たのは細野晴臣であり、のちにDaisyworldでのリリースへと発展する。
https://amzn.to/4880KeE
全曲視聴:https://progressiveform.bandcamp.com/album/ryoichi-kurokawa-copynature-pfc

「copynature」の内、映像が付いている楽曲は
cipher・OOL・errorbook・opside・a few walks・sea in youの6曲。
音楽のみは「everything you can see through a little hole」です。
視聴:https://progressiveform.bandcamp.com/track/everything-you-can-see-through-a-little-hole

Cat No.: PFDV03 【DVD】
Artist: Ryoichi Kurokawa
Title: copynature
Release Date: 2003.6.30
 
Tracklisting:
01. cipher
02. OOL
03. retina f
04. opside
05. errorbook
06. a few walks
07. copynature
08. sea in you
 
All Music and Movie by Ryoichi Kurokawa
Except M3 Music by AOKI takamasa
 
現在最も注目を浴びている映像・音響作家の1人として海外をベースに活躍を続ける黒川良一の処女作。その後に広がる世界観の原点とも言える様々なイメージが集約された傑作といえる映像作品集。
ジャケ写有:https://www.discogs.com/release/321535-Ryoichi-Kurokawa-Copynature

余計な私感は不要だと思います、是非観て欲しいです。

02. OOL はcopynature DVDのジャケ写で使用した素材の映像。02. OOL_IMG_8008.mov


03. retina f はクレジットにある通りAOKI takamasaの楽曲であり、AOKI takamasaの

3rdアルバム「indigo rose」のジャケ写の素材の映像。03. retina f_IMG_8009.mov


06. a few walks はcopynature DVDのハイライトの1つで初期黒川作品の傑作の1つ。

  06. a few walks_IMG_8018.mov

08. sea in you はcopynature CDのジャケ写で使用した素材の映像。08. sea in you_IMG_8028.mov

00Menu_IMG_7999.jpg


01. cipher_IMG_8002.mov

 

03. retina f_IMG_8010.mov            03. retina f_IMG_8012.mov

04. opside_IMG_8013.mov            04. opside_IMG_8014.mov

05. errorbook_IMG_8016.mov



06. a few walks_IMG_8020.mov          06. a few walks_IMG_8022.mov


07. copynatureIMG_8031.mov      07. copynature~08. sea in you_IMG_8026.mov

08. sea in you_IMG_8030.mov


 
後、CDの説明でもあるように、細野さんから高い評価も受け、細野さんが幸宏さんとSKETCH SHOWをやられていたdaisyworld discs<3rd season_2002-2005>にて、2004年9月1日にRYOICHI KUROKAWA / READ (CD)とRYOICHI KUROKAWA / READ (DVD)をリリースしています。
http://daisyworlddiscs.sblo.jp/category/4423524-1.html
https://amzn.to/48jHv2O
https://amzn.to/481Esv3

Ryoichi Kurokawaは世界でも高い評価を受けている現在進行形のアーティストなので、是非その動向を追って欲しい素晴らしい人物です。
 
さて、Ryoichi Kurokawa「copynature」PFCD06にリリースとなったのが、2003年6月25日にリリースされたNao Tokui「Mind The Gap」PFCD07。
ある意味Ryoichi KurokawaとNao Tokuiは同時代を駆け抜けている天才のような存在だと感じます。
 
Cat No.: PFCD07
Artist: Nao Tokui https://naotokui.net/ja
Title: Mind The Gap
Release Date: 2003.6.25
 
Tracklisting:
01. The First Train
02. Pan Pacific
03. Monolith
04. Graffiti
05. On the Bank of Donau
06. Rotation
07. Pine Ave.
08. Ms. Cherry
09. Home Town in White
 
All Composition : Nao Tokui
Mastering : Masato Morisaki at Saidera Mastering
 
2002年秋のヨーロッパツアーでの印象を元に綴られた期待のアーティスト徳井 直生(ナオ・トクイ)による待望のファーストアルバム!
彼の凄さは、そのソフト 開発に代表される卓越したプログラミングセンスだけに留まらず、同時に見事なま での音楽表現を可能にするその抜群のセンスと豊かな音楽性にある!
https://amzn.to/4i9GnlO
https://amzn.to/47YDteT
全曲視聴:https://progressiveform.bandcamp.com/album/nao-tokui-mind-the-gap-pfcd07

Nao Tokui

日本のアーティスト、人工知能研究者であり、株式会社Qosmo代表取締役、DJ、工学博士(東京大学)。滋賀大学データサイエンス学部客員教授。元慶應義塾大学准教授。
AIを用いたインスタレーション作品群で知られる人工知能を用いたメディア表現の研究者であり、AIのDJと自分が一曲ずつかけ合うスタイルでのDJパフォーマンスである「AI DJ」を国内外で行う。
Google I/O 2019ではAI DJのパフォーマンスを行った。
またアーティストとしてはPROGRESSIVE FOrM、op.discといったレーベルでの活動やNujabesとのコラボレーションなどで知られ、NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)や山口情報芸術センター(YCAM)での作品展示も多数行う。
2019年4月より慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(環境情報学部 / 政策・メディア研究科)に准教授として着任(2023年3月に退任)。
2021年にAIと人の創造性に関する考察、それまでの活動をまとめた著書『創るためのAI ―機械と創造性のはてしない物語』を出版し、第30回 大川出版賞 を受賞した。
https://ja.wikipedia.org/wiki/徳井直生

すご過ぎます、何をやっても秀才の中の秀才、勿論音楽を作ってもセンス抜群!
この頃は主に4つ打ちのテクノライクなトラックからダウンテンポのトラックまで、いずれもピカ一。

Nao Tokui自身がDJでもある事から、この「Mind The Gap」はフロアライクな楽曲が並んでおり、アルバムを締め括るアンビエンスな「09. Home Town in White」を除く8曲を、2004年にNao Tokui「The First Train」PFEP16とNao Tokui「Rotation」PFCD17として2枚の12inchをリリースしました。特にお勧めのトラックにYouTubeリンクを張ります。

Nao Tokui「The First Train」PFEP16

A1 The First Train

A2 Monolith https://www.youtube.com/watch?v=ejfKCREKORk

B1 Pan Pacific https://www.youtube.com/watch?v=SzPHHkBFZVE

B2 Graffiti

https://www.discogs.com/ja/release/262518-Nao-Tokui-The-First-Train


Nao Tokui「Rotation」PFCD17
A1 Rotation
A2 Pine Ave https://www.youtube.com/watch?v=7gxd4pqmZKc
B1 On the Bank of Donau
B2 Ms. Cherry https://www.youtube.com/watch?v=-andr-aVQqA
https://www.discogs.com/ja/release/263587-Nao-Tokui-Rotation
 

さてこの2003年、PROGRESSIVE FOrMではまとまったイベントを2回開催しました。
1)「voyage.2」2003年3月19日(水) @京都 club metro / 3月22日(土) @青山 cay
2)「audio forma」2003年9月12日(金) #1 -experiment- @六本木super deluxe / 9月14日(日) #2 -complex- @青山cay

1)は前回の8回目に触れた、2002年11月22日に開催したPROGRESSIVE FOrM初のレーベルイベント「voyage.1」の2回目「voyage.2」。
 

出演はAOKI takamasaとNao Tokuiが京都metroと青山cayの両方。
京都metroでは後の2006年10月7日にアルバム「sunn」PFCD14をリリースしたeaterと、当時京都のDJ Kazumaらのクルーでもあり2002年に12inch「perspective / scent」pfL_9をリリースしたEUTRO。
青山cayでは「forma 1.02」に参加してくれた#de.niroと名古屋からDublee。


そしてこのイベントでの大きなトピックは、ドイツのCity Centre Officesレーベルや、イギリスのVertical Formレーベルでのアルバムで人気評価の高かったエレクトロニカ/エレクトロニックミュージックのドイツ人プロデューサーことArovaneをライブで https://www.discogs.com/ja/artist/515-Arovane と、当時人気だったドイツ・ケルンのTrapezレーベルを主宰し、自身でもプロデュースとDJのRiley Reinhold aka TRIPLE RをDJで招聘した点。https://www.discogs.com/ja/artist/41040-Triple-R

なお全くの余談ですが、京都metroに参加した2人組ユニットEUTROの1人・細尾真孝君は、元禄元年(1688年)に京都西陣にて織物業を創業した「細尾 (HOSOO)」の現当主です。
 

2)はシンプルに説明すると、細野(晴臣)さんが主宰されるレーベルdaisyworld discsとPROGRESSIVE FOrMの共同イベントです。

とは言え、daisyworldで細野さんは全体のディレクションなどある意味俯瞰されていたと思いますので、実際の運営は90年代から長らく細野さんのマネージャーを担当されていた故・東榮一氏がいたからこそです。


Daisy Holiday! 細野晴臣 東榮一 コシミハル 2004 https://www.youtube.com/watch?v=c-OOORaxDfM
ラジオ 細野晴臣 Daisy Holiday! ゲスト:AOKI takamasa 2004 https://www.youtube.com/watch?v=wt_wxryHewo
 
 

東さんは、おそらくバルセロナのsonarに細野さんと幸宏さんのSketch Showが出演されていた時にPROGRESSIVE FOrMも参加していたり、実はPROGRESSIVE FOrMでアルバムをリリースした黒川良一やeaterが後にdaisyworldでアルバムをリリースしたり、また東さんのお陰で、細野さんによる初のミックス音源「V.A. “MIX FORM Mixed by Haruomi Hosono” PFCD10」をリリースさせて頂いたりと、公私に渡り大変大変お世話になった大先輩でした。
https://progressiveform.bandcamp.com/album/v-a-mix-form-mixed-by-haruomi-hosono-pfcd10
 
 

  

「audio forma」という名前は、daisyworldで「audio sponge」というコンピレーションをリリースしていて
「audio sponge 1」https://amzn.to/3LPwUE4

https://www.discogs.com/ja/release/777121-Various-Audio-Sponge-1


「audio sponge 2」https://amzn.to/4o2f667

https://www.discogs.com/ja/master/1786694-Various-Audio-Sponge-2

 

していた事から、audioとformaを繋げた造語に僕が提案。
 
そして開催は2003年9月12日(金)の#1が「-experiment-」@六本木super deluxe は、名の通り「experiment=実験」をコンセプトにした内容の一夜で、9月14日(日)の#2が「-complex-」@青山cayは、「complex=複雑な,入り組んだ」をコンセプトにオールナイトでよりダンスミュージックよりの内容に分ける、というアイディアは東さんがご提案下さったと記憶しています。
 
出演は9月12日(金) #1 -experiment- @六本木super deluxeが
Sketch Show(daisyworld discs)
AOKI takamasa(PROGRESSIVE FOrM)
Ryoichi Kurokawa(daisyworld discs/PROGRESSIVE FOrM)
fonica(PLOP/TOMLAB)
miroque(cacha*mai/360°records)
Hirotaka Iwatsuki(telek)
https://super-deluxe.com/events/20030912/

9月14日(日) #2 -complex- @青山cayが
Sketch Show(daisyworld discs)
eater(daisyworld discs/PROGRESSIVE FOrM)
Yoshihiro Hanno(Cirque/PROGRESSIVE FOrM)+Yuki Kawamura
AOKI takamasa(PROGRESSIVE FOrM)+Ryoichi Kurokawa(daisyworld discs/PROGRESSIVE FOrM)
Nao Tokui(PROGRESSIVE FOrM)
Hair Stylistics(daisyworld discs)
Taeji Sawai(portable[k]ommunity)
godibop(Third-ear)
mugison(Lifelike)

共に素晴らしかったと思いますが、特に青山cayではカオスなくらいに濃厚な夜になりました。

2025/11/14 nik c/o PROGRESSIVE FOrM

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この記事を書いた人

東京出身。PROGRESSIVE FOrMレーベル主宰/エージェントなど。
訪問した国は南北アメリカ大陸10カ国、ヨーロッパ8カ国、アジア圏3カ国。
1993年にDJ Kenseiと、1994年に土井さん(後のD.O.I. ※D.O.I.という書き方は僕が提案)と出会い、1995年に音楽プロデュースユニットINDOPEPSYCHICS(インドープサイキックス)結成。
1996年のキングギドラ「行方不明」のリミックスを皮切りに、SHAKKAZOMBIE「手のひらを太陽に〜ACROSS THE 20 MIX〜」他の多くのHip Hop作品から、Sunaga T Experience「Gemini IV / V Space Nova!」、UNKLE「THE KNOCK (INDOPEPSYCHICS REMIX)」などインスト作品なども幅広く手掛けつつ、2000年にPROGRESSIVE FOrMを立ち上げる。
DJ Kenseiとも繋がりが深かった京都のDJ Kazumaから新しい才能と京都外国語大学で活動していた青木 孝允(AOKI takamasa)と高木正勝によるユニット<SILICOM>と出会い、2001年にPROGRESSIVE FOrMよりAOKI takamasa 1stアルバム「SILICOM」とSILICOM「SILICOM」DVDをリリース。
2002年にはINDOPEPSYCHICSのHip Hopやビート主体の初期作品「Meckish / Nittioatta.Nittionio」とエレクトロニカなど後期作品をまとめた「Leiwand」をリリース。
移行、半野喜弘、杉本佳一によりVegpher、Fugenn & The White Elephantsなど才能溢れるアーティストの作品をリリース。
2002年6月にバルセロナsonarにてレーベル・ショーケース、11月に六本木ヒルズTHINK ZONEにて初のレーベル・イヴェント"Voyage"を開催。2003〜2004年にはDaisyworld Discsとイヴェント"audio forma"を開催、2004/2006年にsonarsound tokyoを共同開催。
2011年6月にレーベル10周年イベントを恵比寿LIQUIDROOMで開催し1000名を超える集客を記録。
そして2020年10月にレーベルとして100枚目のアルバムninomiya tatsuki『scat』PFCD100をリリース。
2024年9月18日に2000年代以降の電子音響を支えて来た1人と言えるTAEJI Sawai唯一のアルバム「AS PLANETARY DREAMS」PFCD112をリリース。


2004〜2008年はフルでTOWA TEIのマネージャーを担当。
2013〜2015年には「EMAF TOKYO」を主宰、ヤン富田、Fennesz、Carsten Nicolaiをはじめ数多くのアーティストを招聘。
細野晴臣氏のマネージャーを長く務められた故東氏が主催された「De La FANTASIA」ではcyclo.-Ryoji Ikeda+Carsten Nicolai-やTOWA TEI他をブッキング。
2014年12月のLIQUIDROOM公演でJamie xxを招聘、2015年9月にFenneszの代官山UNIT公演を主催。


Bajune Tobetaのエージェントとしても数多くの作品に関わり、2010年1月13日に発売されたのアルバム「Africna Mode」では多くの楽曲の制作をサポート、2015年の「TOKYO GALAXY」ではArto Lindsayをブッキング、2021年9月にリリースされたbajune Tobeta「すばらしい新世界 〜RELAX WORLD〜」ではChara、Mummy-D、堂珍嘉邦(CHEMISTRY)、坂本龍一によるアントニオ・カルロス・ジョビンのトリビュート盤「CASA」で共演しジョビンのバックを務めていたモレレンバウン夫妻をブッキング。

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