INDOPEPSHYCHICSから紡がれた日本のエレクトロニック・ミュージックの一端 No.28「2012~2013年にリリースされた必聴アルバム5選 [後編]~Serph・no.9・Towa Tei・青葉市子と妖精たち・haruka nakamura~」

前回の連載27回目では「2012~2013年にリリースされた必聴アルバム5選 [前編]~渋谷 慶一郎・Flying Lotus・坂本龍一・柏大輔・Matryoshka~」とし、2012年にリリースされた今改めて聴き直したい上質なアルバムをリリース日順に紹介しました。
1)2012年4月25日リリース Keiichiro Shibuya「Soundtrack For Memories Of Origin Hiroshi Sugimoto」(ATAK/ATAK018)
2)2012年9月26日リリース Flying Lotus「Until The Quiet Comes」(Warp Records/WARPCD230)
3)2012年10月17日リリース Ryuichi Sakamoto「Three」(Commmons/RZCM-59189)
4)2012年11月24日リリース Kashiwa Daisuke「Re:」(Virgin Babylon Records/VBR-011)
5)2012年12月12日リリース Matryoshka「Laideronnette」(Virgin Babylon Records/VBR-012)



なおこれまでアニュアリーに焦点を当てたのは上述No.27以外には4回で、2008年から2011年。




1)2013年3月15日リリース Serph「El Esperanka」(noble/NBL-207)
https://www.discogs.com/ja/release/5049178-Serph-El-Esperanka
本連載の上述No.24での「Vent」(noble/CXCA-1271)、No.25での「Heartstrings」(noble/NBL-201)に続くSerphの4枚目のフルアルバム「El Esperanka」。私的に「Vent」(2010)~「Heartstrings」(2011)~「El Esperanka」(2013)はこの時期におけるSerphの3部作のような気にも感じられます。

なお「Heartstrings」(2011)と「El Esperanka」(2013)の間には、2011年11月18日にリリースされたクリスマス・ミニ・アルバム「Winter Alchemy」及び2012年8月9日に本連載でも何度か触れたネット・レーベルBunkai-Kei RecordsよりN-Qia名義でのアルバム「Audio Illustrations」(Bunkai-Kei Records/BK-K 030)をリリースしています。
Serph「Winter Alchemy」(noble/NBL-205)
01. noel
02. straat
03. twinkler
04. alchemy
05. VALIS
06. lumina
07. above
左のジャケ写 https://www.discogs.com/ja/master/1954849-Serph-Winter-Alchemy

N-Qia「Audio Illustrations」(Bunkai-Kei Records/BK-K 030) 右のジャケ写
01. two dreamers
02. earth
03. fearless
04. lost
05. paris
06. gratitude
07. outertake (Valance Drakes aka MusSck Remix)
08. lost (Go-qualia in the beginning-mix)
09. earth (world’s end girlfriend REMIX)
https://www.discogs.com/ja/release/3793200-N-Qia-Audio-Illustrations
さてこのSerphの4thアルバム「El Esperanka」は引き続き絶好調期のアルバムで、前作「Heartstrings」で鳴らした音の理想郷から二年、魔法仕掛けの電子音楽家Serph (サーフ)が辿り着いた新地平としてユートピアのその先の景色を描く新たな作品。
ライブ活動を一切行わず、プロフィールも謎のまま、突然変異的に世に現れた異色の音楽家Serph。

過去二作品が記録した驚異的なセールスで一躍電子音楽界の寵児へと躍り出た後も、クリスマス・ミニアルバムのリリースや、より先鋭的でダンス・ミュージックに特化した新プロジェクトReliqでの作品発表など、その創作意欲は溢れんばかり。ジャズ、テクノ、クラシック、映画音楽、プログレなど、多彩な音楽的要素を取り込み、美しいメロディーやハーモニーと共に一曲の中で有機的に次々と展開していく、もはやSerph節とも言えるそのスタイルは今作において洗練を極め、童話めいたドリーミーな世界観はより奥深く幻想的に。
結果、Serphのより変則的な未知だった側面もかいま見える、これまで以上に自由で光の量が増したポジティブな一枚に。タイトルである「el esperanka (エル・エスペランカ)」はスペイン語で希望を意味する「esperanca (エスペランサ)」からの造語。ユートピアのその先でSerphが奏でる「新たな希望」の物語。
リスナーのイマジネーションを掻き立てる、夢見る人へのサウンドトラック。
Serph “el esperanka” Trailer
01. twiste
02. magicalpath
03. session
04. vesta
05. parade
06. shift
07. ankh
08. wizardmix
09. felixz
10. curve
11. vitt
12. rem
13. crystalize
M3 session
M4 vesta 計算されつつ一歩引いた感じのテイストは私的に好きです。
M10 curve 珍しくマイナー調をモチーフとしつつ大胆な構成で組み立てられた意欲作であるかのよう。
Serph
東京在住の男性によるソロ・プロジェクト。
2009年7月、ピアノと作曲を始めてわずか3年で完成させたアルバム『accidental tourist』をelegant discよりリリース。2010年7月に2ndアルバム『vent』、2011年4月には3rdアルバム『Heartstrings』、11月にはクリスマス・ミニ・アルバム『Winter Alchemy』を、それぞれnobleよりリリース。
2013年3月に4thアルバム『el esperanka』をnobleよりリリース予定。より先鋭的でダンスミュージックに特化した別プロジェクト、Reliq(レリク)でも一枚アルバムを発表している。
2)2013年7月4日リリース no.9「History Of The Day」(Liquid Note Records/LNR018)
https://www.discogs.com/ja/release/4886687-No9-History-Of-The-Day
城(隆之)さんのソロ・プロジェクトno.9は本連載でも何度か触れさせて頂きました。
本連載No.15「エレクトロニカとフォークトロニカ~蓮沼執太・flauとaus~no.9~」での2007年3月15日にリリースされたno.9「Good Morning」(Liquid Note Records/LNR001)

No.21の「PROGRESSIVE FOrM 10th Anniversary ~bajune tobeta + evala・Pawn・Indopepsychis~」では、恵比寿リキッドルームでの「10th Anniversary」にno.9 orchestraとして出演してくれました。

またNo.26の「~M-Koda・Fugenn&TWE・Vegpher・Pawn~Red Bull Music Academy Weekender EMAF TOKYO 2013」でも2013年11月3日(日)~11月4日(月祝)と2日間で開催した「Red Bull Music Academy Weekender EMAF TOKYO 2013 -Electronic Music of Art Festival Tokyo-」の初日11/3にもno.9 orchestraで出演してくれました。

「音と共に暮らす」をコンセプトにしたno.9のアルバム「The History of the Day」は、2009年9月9日にリリースされた「9-9-9-9-9」から約3年半の制作期間を経てリリースされた通算7作目となるスタジオ・アルバム。
美しくどこか懐かしいメロディーで日々の情景を描き出し、15曲70分以上にわたる長編で深化した世界観を提示、no.9の代表作とも位置付けされる作品で、ジャケットのアートワークに漂うどこか崇高な世界観からは、長き年月を経て到達したno.9の新たな境地が想起されるだろう。
no.9 7th album [ The History of the Day ] 音の深み含めた説得力はお手の物ですね⭐︎
◆またharuka nakamura、paniyolo (SCHOLE)、青葉聡希 (number0)、伊藤智也 (no.9 orchestra)、chiyo (köttur)など、多彩な新進気鋭のアーティストたちとの共同作曲を通じてこれまで以上に多彩なサウンドメイクが行われた事をはじめ、no.9初となるボーカル曲にも挑戦している。
M2 [ The History of the Day / Short version ] Music Video
01 inside outside feat. Tomoya Ito
02 The History of the Day
03 whisper of rain feat. paniyolo
04 there feat. haruka nakamura
05 small promise
06 fairground spring #02
07 balance
08 flat point
09 before the wind feat. chiyo
10 a picture on the wall feat. 青葉聡希
11 source of harmonics
12 imagine fun
13 remember
14 softly song to you
15 Hello feat. Tomoya Ito

M3 Whisper of Rain 城さんらしく響きが優しく個人的にも好きな曲⭐︎
M4 there feat. haruka nakamura イメージ通りだけどその清々しさに素直にやられる。
M8 Flat Point 大人のrelaxin’
3)2013年7月10日リリース Towa Tei「Lucky」(Warner Music Japan/WPCL-11516、Mach/MB01-2013) https://www.discogs.com/ja/master/941655-Towa-Tei-Lucky
テイさん(TOWA TEI/テイ・トウワ)7枚目のオリジナル・アルバム「LUCKY」は、2005年の「FLASH」(No.12)、2009年の「BIG FUN」(No.17)、前作2011年の「SUNNY」(No.25)の3部作に続く、軽快でポップな感触を継承しつつ、より開放的でラッキーな気分になるような快適な極上のポップセンスが散りばめられた心地良いアルバム。



◆キャリア初となる全曲の作詞・作曲・編曲を自身で手掛けたセルフプロデュース作品であり、パーソナルな感覚や、移動中などにPCで制作されたような自由で軽やかなムードが反映されています。
“RADIO” TOWA TEI WITH YUKIHIRO TAKAHASHI & TINA TAMASHIRO らしいTOWA TEI品質!
◆椎名林檎、シュガー吉永 (Buffalo Daughter)、バクバクドキン、YMOの3人(細野晴臣、坂本龍一、高橋幸宏)、浜野謙太(在日ファンク、SAKEROCK)、Dorian、Predawn、手嶌葵、玉城ティナ、中田絢千など、多彩なアーティストが参加。
“APPLE” TOWA TEI feat. SHEENA RINGO ( MV with Gemini ) テイさんのアート感を全面に打ち出した歴史に刻むひと時。
◆ジャケットのアートワークは今作で音楽ジャケットを初めて手がける、日本を代表する芸術家・草間彌生が描き下ろした水玉アートワークを採用、音楽ジャケットとしても大きな話題に。

01. RADIO feat. 高橋幸宏 & 玉城ティナ
02. BLUE FOR GIRLS, PINK FOR BOYS
03. ABBESSES feat. 中田絢千
04. KATABURI
05. LICHT
06. TERIMA KASIH
07. JUXTAPOSE
08. APPLE feat. 椎名林檎
09. WARM JETS
10. GENIUS feat. 手嶌葵
11. LOVE FOREVER
ABBESSES feat. 中田絢千 あくまで僕視点です、進化したテイさんの大人な纏め方にグッと来る。
BLUE FOR GIRLS, PINK FOR BOYS めっちゃ良質なサウンド⭐︎
あくまで私観だけど、テイさんが楽しんで音に向き合っている感じを、4年半時間を共にした感覚として肌身で感じるニュアンス。
GENIUS feat. 手嶌葵 いやらしいな、テイ・トウワ(めっちゃリスペクトの意を込め)
NEXT STAGE TOWA TEI! 流石です(すっきりした感じを覚えます)

やっぱコレ! Luv Connection [SESSION] – Towa Tei & Ryuichi Sakamoto feat. Vivian Sessoms
4)2013年8月7日リリース 青葉市子と妖精たち「ラヂヲ」(Commmons/RZCM-59411)
2010年にデビューしたシンガー/ギタリスト、青葉市子の通算4枚目となるオリジナル・アルバム。
魅力的な歌声と驚くべき演奏力、卓越したソングライティング能力を兼ね備えた彼女に、坂本龍一、細野晴臣、小山田圭吾、U-zhaanという豪華ゲスト陣が加わり制作した作品。
これは2013年1月1日にOAされたNHK-FMの「坂本龍一 ニューイヤー・スペシャル」 で、青葉市子が坂本龍一・細野晴臣・小山田圭吾・U-zhaanを迎えて行われた一発録りのスタジオ・セッション音源で、番組オンエア後にパッケージ化の問い合わせが殺到し、CD用に改めてミックスされリリース。

細野さん、坂本さん、小山田さん、ユザーンさんと、ラジオの為にせーので録音された音源です。
音が産まれ、育ち、水辺へ運ばれ、満ち満ちていくのが、妖精たちとオアシスで遊んでいるようでした。
Aoba Ichiko To Youseitachi(青葉市子と妖精たち)
妖精たちは、坂本龍一、小山田圭吾(コーネリアス)、U-Zhaan (ex.ASA-CHANG&巡礼)、細野晴臣で、NHK-FMのニューイヤーコンサート番組で青葉市子と生セッションを行う。
https://www.discogs.com/ja/artist/6648672-Aoba-Ichiko-To-Youseitachi

01. IMPERIAL SMOKE TOWN
02. Mars 2027
03. Star Fruits Surf Rider
04. 日時計
05. 不和リン
06. レースのむこう
07. 重たい睫毛
08. 奇跡はいつでも
09. 悲しみのラッキースター
10. Smile

01. IMPERIAL SMOKE TOWN(青葉市子「うたびこ」2012)
02. Mars 2027(青葉市子「0」2013)
03. Star Fruits Surf Rider(Cornelius「Fantasma」1997)
04. 日時計(青葉市子「檻髪」2011)
05. 不和リン(青葉市子「剃刀乙女」2010)
06. レースのむこう(青葉市子「檻髪」2011)
07. 重たい睫毛(青葉市子「剃刀乙女」2010)
08. 奇跡はいつでも(青葉市子「うたびこ」2012)
09. 悲しみのラッキースター(細野晴臣「HoSoNoVa」2011)
10. Smile(スタンダード・ナンバー)
※10「1936年公開のCharlie Chaplin監督映画「モダン・タイムス」のテーマ曲としてチャップリン自身が作曲したインストゥルメンタル曲(原題:Smile)、1954年に歌詞が付けられ、ナット・キング・コールなどのカバーで世界的なスタンダードナンバーとなった。」
STAR FRUITS SURF RIDER(from 青葉市子と妖精たち「ラヂヲ」)
Cornelius – Star Fruits Surf Rider [HD]
不和リン(from 青葉市子と妖精たち「ラヂヲ」)
不和リン – remastered
細野晴臣 悲しみのラッキースター
青葉市子 悲しみのラッキースター(細野晴臣)
Smile(from 青葉市子と妖精たち「ラヂヲ」)
Nat King Cole “Smile” (1954)
Charles Chaplin 映画「モダン・タイムス」 スマイル ” Smile ” from Modern Times https://www.youtube.com/watch?v=oF-td6nbvrY
5)2013年9月6日リリース Haruka Nakamura「Melodica」(Hyde Out Productions/HPD14)
https://www.discogs.com/ja/release/4886261-Haruka-Nakamura-Melodica
本連載No.24の 「2010~2011年にリリースされた必聴アルバム5選 [前編] ~Serph・haruka nakamura・pupa・world’s end girlfriend・大貫妙子&坂本龍一~」でも2010年7月リリースの「Twilight」(Kitchen. Label/AMIP-0005)で触れさせて頂いたHaruka Nakamura君。
Haruka Nakamura https://www.harukanakamura.com
Haruka君は2010年頃にイベントでたまに会ったりと、一般的にはアコースティック・サウンドのイメージが強いのと同時に、2008年から始まった瀬葉君こと故・Nujabes氏との共同楽曲制作でも知られるように、ビート・ミュージックへの造詣もあったので私的に心地良く軽やかな印象があります。
直接的には2度、本連載No.19で紹介した2010/8/22(Sun)にEATS and MEETS Cay (Spiral B1F/青山)で開催した「PROGRESSIVE FOrM presents New Sounds of Tokyo Vol.6」にkadan / haruka nakamuraとして出演してもらった事と、2010年10月にリリースしたChisato Ohori「toanowa」PFCD22に素敵なコメントを寄せてくれました。
【haruka nakamuraによるコメント】とても久しぶりに再会した友人のような、暖かな音楽。聴いていて自然と笑みがこぼれた。共感と嬉しさで。 10曲目「akuruhi」が本当に素晴らしくて。この世界に光を与えてくれる。アルバムとしても1本の名作を観終えたような幸福感。いつまでも終わり無く、繰り返し聴いている。
「toanowa」PFCD22 https://www.discogs.com/ja/release/3258139-Chisato-Ohori-Toanowa

その2010年、2月7日に36歳を迎えてまだこれからという時、Nujabesこと瀬葉君が2月26日に交通事故のため死去。
インドープの頃、1998~1999年頃だと思う、当時渋谷HARLEMでKensei君 (DJ Kensei) とマスター (DJ MASTERKEY/BUDDHA BRAND) を中心に1997年のオープンから毎週金曜のレギュラーイベントとしてスタートした「DADDY’S HOUSE」に絡み、ハーレムから派生したレーベルDimid RecordingsのA&R竹内君の繋がりから、Nujabesこと瀬葉(淳)君が1995年にオープンさせたGUINNESS RECORDSと、Tribe Recordsにも足を運ぶようになり、静かな佇まいで店にいた彼を朧げに覚えています。
瀬葉君のPark Avenue Studioにも何で行ったかは全く記憶にないものの一度伺った事があります。
もう16年経ちますね、改めて哀悼の意を捧げます。
ジャズやソウルを基調とした繊細なビートで世界的に評価される音楽プロデューサー/DJであり、現在のLo-fi Hip Hopの先駆者としても知られるNujabes。その音楽は国境を超えて今後も愛され続けるでしょう。
瀬葉君と共同楽曲制作をしていたHaruka君は尚更の事と察します。

この「Melodica」(Hyde Out Productions/HPD14)は、2008年5月2日に小瀬村晶さんのScholeレーベルよりリリースされた「grace」(SCH-004)、上述の2010年7月にリリースされた「twilight」に続く3部作の最終章として、1999年にNujabesが立ち上げたインディペンデントレーベル「Hydeout Productions」より2013年9月にリリース 。
Haruka Nakamura「Grace」https://www.discogs.comja/release/1375148-Haruka-Nakamura-Grace

haruka nakamuraの郷愁的な旋律にNujabesのビートが出逢った最初で最後のアルバム作品
M1 Lamp feat.Nujabes
haruka nakamuraの3年ぶりの新作にして3部作完結作品、「MELODICA」。
前作「twilight」はその美しい装丁と共に反響を呼び、iTunes「今週のシングル」に選出された。1st Album「grace」に加え「afterglow」がロングセラーを続ける中で発表された作品。
このアルバムは今を遡ること5年、haruka nakamura の1st Album 発表以前からNujabes と共に、彼のスタジオで二人きりで制作が開始された渾身の作品集。
Nujabes がfeat.でビート、フルートなどで参加した、今となっては稀少な2つの楽曲から、Nujabes自身がmixなどを施した未発表楽曲郡まで、聞き逃せない曲がずらりと並んでいる。
Uyama Hiroto、Pace Rock、Cise Starr、Substantial などhydeout 最重要アーティスト達も参加。
さらにshing02と共に再構築した、名曲「Luv sic pt.2」のアコースティックバージョンは、心ゆさぶる感動的な一曲に昇華されている。ARAKI Shin、Janis Crunch など、haruka nakamura 作品では馴染み深いアーティストも顔を揃えた。まさにこれまでの軌跡の全てが詰まった作品となっている。
今作品は、一貫して「日々の暮れ」をテーマにアルバム作品を発表し続けてきた彼の1st「grace」2nd「twilight」に続く3部作完結編となる。アートワークもhydeoutで数々の作品を手掛けてきたFJD が担当。

01. Lamp feat. Nujabes
02. AURORA
03. soar feat. Substantial
04. days
05. the sun feat. Cise Starr
06. MELODICA feat. ARAKI Shin
07. enzo
08. Luv(sic)pt2 – Acoustica – feat. Shing02
09. delight
10. fragrance like home feat. Pase Rock
11. SUNSET LINE feat. Uyama Hiroto
12. let go feat. Nujabes
M3 soar feat. Substantial
M5 the sun feat. Cise Starr
M6 MELODICA feat. ARAKI Shin
M8 Luv(sic)pt2 – Acoustica – feat. Shing02

nujabesというアーティストがいた。昔からとても尊敬し、憧れていた。
部屋で一人、サンプラーで音楽を作り続けていた20代前半の頃、彼は僕のヒーローだった。
あの時代、東京という街が彼の音楽でダンスしていたように思う。
そのヒーローから直接メールをもらい、共に鎌倉の彼の家のプライベート・スタジオで二人で音楽制作をする夢のような日々が始まるとは。毎週、鎌倉に電車で訪れ、たくさんのセッションをした。夕暮れには車で江ノ島まで海岸線をドライブして、たくさんの音楽を聴いた。逗子で夕食を食べ、たくさんの話をした。
そして、その日々が二年ほど過ぎた頃、彼は空に旅立つことになる。

「lamp」という曲を作った時のことをよく覚えている。
MELODICAは純粋にはソロアルバムではなく、nujabesさんや彼の親しい仲間たちと作った、あの音楽を残すためのアルバムだった。物語を知らない方からは、grace、twilightの次にこのアルバムがリリースされたことで、音楽性の変化に驚かれたはずだ。無理もない。
けれど僕は元々、ヒップホップやビートのあるインスト曲をサンプラーで作っていた時代が音楽表現のルーツにあり、そのサンプリング、ループの手法がgraceのサウンドへと繋がっていった。
そして、これは「やむにやまれず、作るしかなかった」アルバムなのだ。
この作品を越えていかなければ、そしてここから別の新しい音楽に向かっていかなければ、僕の音楽はここで終わっていた。10年経った今でも、そう思う。

ジャケットもこの作品だけはnujabes作品を手掛けるデザイナー・藤田さんに描いてもらい、nujabesのレーベル”hydeout”からリリースした。この物語を踏まえて、静かな音楽のみを扱う「雨と休日」が特別に取り扱ってくれたこと、今でも心から感謝している。アルバムの代表曲「lamp」はその後、僕の背中を押し続けてくれた。
MVは、彼が居なくなった鎌倉の自宅スタジオと、由比ヶ浜の海で撮影した。
lampはのちに12インチ・アナログレコードとして発売され、現在は完売している。
haruka nakamura
M12 let go feat. Nujabes
【MV】灯星 / haruka nakamura + suis from ヨルシ
2026/03/25 nik c/o PROGRESSIVE FOrM

